VERSION GUIDE 46
ビートルズ
「While My Guitar Gently Weeps」
2018 Mix・アコースティック・
LOVE版は何が違う?
同じジョージ・ハリスンの歌でも、バンドで仕上げた『ホワイト・アルバム』の収録、アコースティックで歌う制作途中のテイク、弦を加えた『LOVE』の収録では、選ぶ演奏も制作工程も違います。
さらに2009 Digital Remaster、2018 Mix、Take 1、Take 2、Esher Demoという注記が並びます。録音を仕上げ直したもの、ミックスを作り直したもの、演奏そのものが違うものを分けて、聴き比べの入口を整理します。
公開日: 更新日: 読了目安:約8分
まずは代表10収録を見分ける
2026年10月13日に確認したApple Music日本カタログから、版の関係が見える10収録を選びました。10曲すべてが異なる演奏という意味ではありません。表の時間は配信データを秒単位に丸めたものです。
| 収録盤 | 曲名・版表記 | 時間/ISRC | 選ぶときの目印 |
|---|---|---|---|
| The Beatles (The White Album) Apple Musicで開く | ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス (2009 Digital Remaster) | 4:45GBAYE0601650 | 通常版の比較基準。2009年のリマスター表記 |
| The Beatles (White Album) (Super Deluxe Edition) [2018 Remix & Remaster] Apple Musicで開く | While My Guitar Gently Weeps (2018 Mix) | 4:45GBUM71802708 | 1968年の録音から作られた2018年の新ミックス |
| The Beatles 1967–1970 (2023 Edition) [The Blue Album] Apple Musicで開く | ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス (2018ステレオ・ミックス) | 4:47GBUM71802708 | 2023年青盤に収録された2018年ミックス。新しい盤=2023 Mixではない |
| The Beatles (White Album) (Super Deluxe Edition) [2018 Remix & Remaster] Apple Musicで開く | While My Guitar Gently Weeps (Esher Demo) | 2:41GBUM71802739 | Esher Demoと明記された制作段階の演奏 |
| Anthology 3 Apple Musicで開く | While My Guitar Gently Weeps (Acoustic Version - Take 1) | 3:28GBAYE1100521 | Anthology 3のアコースティックTake 1 |
| Anthology 3 Apple Musicで開く | While My Guitar Gently Weeps (Acoustic Version - Take 1 - Remastered) | 3:27GBUM72502683 | 2025年リマスターとして再収録されたTake 1 |
| The Beatles (White Album) (Super Deluxe Edition) [2018 Remix & Remaster] Apple Musicで開く | While My Guitar Gently Weeps (Acoustic Version / Take 2) | 3:03GBUM71802771 | Take 1と別のアコースティック演奏 |
| Love Apple Musicで開く | ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス (LOVE Version) | 3:47GBAYE0601564 | アコースティック演奏に2006年録音の弦を加えた版 |
| The Beatles (White Album) (Super Deluxe Edition) [2018 Remix & Remaster] Apple Musicで開く | While My Guitar Gently Weeps (Third Version / Take 27) | 3:17GBUM71802779 | Third VersionのTake 27。完成版と区別 |
| Anthology 4 Apple Musicで開く | ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス (サード・ヴァージョン - テイク27) | 3:18GBUM71802779 | Anthology 4に再収録されたTake 27 |
曲名の版表記に加え、収録盤とTake番号をセットで確かめてください。とくに『Anthology 3』のTake 1と、2018年の拡張版に入るTake 2は、同じアコースティック表記でも別の比較対象です。
2018 Mixは、1968年の歌を新たに歌い直した版ではない
通常版の比較基準には『The Beatles (The White Album)』の「2009 Digital Remaster」を使います。1968年の作品を扱う収録で、2009という数字はこの版のリマスター表記です。歌が2009年に録り直されたという意味ではありません。ビートルズ公式の曲紹介
2018年の50周年版は、ジャイルズ・マーティンとサム・オケルによる新しいステレオ・ミックスです。公式説明では、当時の4トラック/8トラックのセッション・テープを使い、元のステレオ・ミックスを指針に制作したとされています。完成した音を仕上げ直すリマスターと、各録音素材の音量や配置を組み直すリミックスを区別すると、2018 Mixの位置づけが見えます。50周年版の制作説明
基準は285,000ミリ秒、2018 Mixは285,280ミリ秒。ほぼ同じ長さでもISRCは異なります。尺や番号だけから編集の完全一致、使った素材のすべて、音質の優劣を判定することはできません。通常版と2018 Mixを同じ一節で比べ、声とギター、リズムの配置を追ってみてください。
2023年版の青盤にも、この曲は「2018ステレオ・ミックス」として収録されています。2018年拡張版と同じISRC「GBUM71802708」ですが、長さは286,787ミリ秒で約1.5秒の差があります。2023年の盤に入ったから2023年の新ミックス、と読み替えないことが大切です。2023年青盤の公式曲目
Esher Demo、Take 1、Take 2をひとまとめにしない
2018年拡張版には、完成版のミックスとは別にEsher Demoとセッション録音が収められています。この曲のEsher Demoは約2分41秒。公式曲目でもデモのグループに置かれ、アコースティックのTake 2はセッションのグループに置かれています。デモとテイクを、単に「音数が少ない版」という一種類にまとめずに選びます。デモとセッションの公式曲目
『Anthology 3』のアコースティック収録はTake 1、約3分28秒です。これに対して2018年拡張版は「Acoustic Version / Take 2」、約3分3秒。公式のAnthology曲目と50周年版の曲目でも、番号の違いを確認できます。Anthologyの公式曲目
3つの収録には異なるISRCと尺がありますが、区別の主な根拠は公式の版名と収録の位置づけです。個々の録音日や編集の全工程は、ここでは確定していません。同じ場面の歌い方、伴奏の入り方、曲の終わり方を比べると、完成版までの道筋をたどれます。
LOVE版は、アコースティック演奏に弦を加えた制作
『Love』の収録は約3分47秒で、「LOVE Version」と明記されています。公式説明ではアコースティック版を使い、ジョージ・マーティンが特別に編曲した弦を2006年に録音した版とされています。単に既存の完成版をリマスターしたものとは違い、伴奏の制作にも変化があります。LOVE版の公式説明
弦の録音はAir Studiosで行われました。歌やギターを新しく録り直した版という説明ではなく、既存のアコースティック演奏と追加された弦を分けて捉えます。弦の編曲・録音についての公式案内
まずTake 1、次にLOVE版を開き、歌の背後で弦がどう入るかを聴くと違いを追いやすくなります。ただし、今回確認した公式説明だけでは、元演奏のTake番号や編集箇所のすべてまでは示されていません。尺の近さや演奏の印象だけで、配信ファイルの素材・編集の完全一致を認定しないようにします。
2025年のAnthologyも、2025年の新演奏とは限らない
2025年の『Anthology Collection』は、従来のAnthology 1〜3のリマスターとAnthology 4を組み合わせた作品です。公式曲目ではAnthology 3のTake 1を維持し、Anthology 4に「Third Version – Take 27」を収録しています。2025年版の制作説明と曲目
日本カタログのTake 1は、従来収録が207,560ミリ秒・「GBAYE1100521」、Remastered表記の再収録が207,360ミリ秒・「GBUM72502683」です。番号が変わったから別演奏、2025年に発売されたから歌い直し、とは判断しません。曲名と公式説明から同じTake 1の再収録として比較し、実際のマスターや編集の差は別に確かめます。
Take 27は2018年拡張版に「Third Version / Take 27」として掲載され、2025年のAnthology 4にも入っています。2収録は同じISRC「GBUM71802779」ですが、197,307ミリ秒と198,360ミリ秒で約1.1秒違います。同じテイクの再収録という位置づけと、配信音声の完全一致は別の話です。完成版やアコースティックTake 2とも取り違えないよう、Third Versionまで含めて見ます。
通常版から、演奏と制作工程の違いへ進む
- 2009リマスターと2018 Mix:完成版の演奏を入口に、声と各楽器の配置を比較します。
- Esher DemoとTake 1・Take 2:版名を確かめて、制作段階の別演奏を順に聴きます。
- Take 1とLOVE版:弦が加わることで、歌と伴奏の関係がどう変わるかを追います。
- Take 27とAnthologyへの再収録:別テイクと、そのテイクが別の作品に入った場合を区別します。
今回、通常版を基準にした検索では19候補を確認しました。記事で紹介した10収録は、その中から版の関係が分かる例を選んだものです。19種類の演奏があるという意味でも、全世界の全収録を網羅した数でもありません。
検索の版表示は選ぶ手掛かりです。アコースティックは「アコースティック」、Take 27は「別テイク」、LOVE Versionは「その他の別バージョン」と表示されます。Take番号は曲名でも確かめてください。「低い信頼度」は基準と同じ録音である可能性についての表示で、演奏や音質の評価ではありません。
青盤の「2018ステレオ・ミックス」は「その他の別バージョン」と表示される場合があります。記事では公式曲目を根拠に2018 Mixの再収録として扱います。Dolby Atmos対応情報は再生形式の情報なので、ステレオのミックス年や再録音の有無とは分けて読みます。
確認した範囲と、次の聴き比べ
公式の制作説明とApple Music日本カタログの曲名・収録盤・ISRC・尺を照合した記事です。本人のフル音源、波形比較、各テイクの正確な録音日、マスターの完全一致、LOVE版の編集全工程は今回検証していません。発売日や番号だけから不足している制作工程を埋めないようにしています。
同じビートルズでも、「Come Together」は通常版・新ミックス・Take 1、「Across the Universe」は複数の完成版の制作、「Let It Be」はシングル版とアルバム版の対応が入口になります。