キキナオシ

VERSION GUIDE 21

THE ALFEE
「星空のディスタンス」
通常版・Long Version・再録音は何が違う?

聴き慣れた「星空のディスタンス」を探すと、約4分15秒の収録、5分を超えるLong Version、「new take by 1991」「2012 New Recording」と付いた収録が見つかります。これらは、音を仕上げ直したリマスターだけでは説明できない違いです。

まずは通常収録と、ライブアレンジをもとに録り直した2012年版を一組に。そこから長尺版、別テイク、実際のコンサート録音へと聴き比べを広げてみましょう。

執筆:TOPDAY読了目安:約8

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1984年のシングルと、アルバムのLong Version

「星空のディスタンス」は1984年1月21日に発売され、TBS系ドラマ『無邪気な関係』の主題歌となった曲です。同年7月5日発売のアルバム『THE RENAISSANCE』では、公式の収録一覧にも「Long Version」と記されています。公式シングル情報公式アルバム年表公式曲別収録一覧

今回、比較の入口に選んだのは『BEST SELECTION I』の版名表記がない収録です。日本のApple Musicカタログでは約4分15秒。それに対し『THE RENAISSANCE』のLong Versionは約5分17秒で、約62秒長い収録になっています。

Long Versionは長尺版を示す名前です。ただし、長さの差だけで「同じ演奏の後奏を延ばした」「別の演奏を追加した」といった制作方法までは分かりません。まず冒頭、間奏、終わり方を区切って比べると、どの部分に時間が使われているかを確かめられます。

この記事でいう「通常収録」は版名表記がない配信を指します。『BEST SELECTION I』の現行音源を、1984年のシングル盤と同一のミックス・マスターと確認した意味ではありません。Long Versionの具体的な編集箇所も、今回の一次資料では確定していません。

2012年版は、ライブアレンジをもとにした再録音

違いの理由が制作側の説明ではっきり分かるのが、『ALFEE GET REQUESTS』の2012年版です。2012年7月25日発売の新録ベストで、公式の通常盤収録一覧では「星空のディスタンス」が2曲目に置かれています。高見沢公式の発売案内

メンバーによる当時のメッセージでは、好みのライブアレンジや試したいライブアレンジを自分たちで選び、新たにレコーディングしたアルバムだと説明しています。一口坂スタジオで制作した最後のアルバムでもありました。THE ALFEEからの制作メッセージ

ここで大切なのは、ライブアレンジをスタジオで録音することと、公演そのものを録音することの違いです。2012年版は前者。カタログの「2012 New Recording」は、過去の音源を仕上げ直すリマスターではなく、録り直した版であることを示します。

通常収録との比較では、音量の大小だけでなく、歌のフレーズの置き方、コーラスの重なり、ギターやリズムの組み立てに耳を向けてみてください。約4分37秒という長さも含め、演奏や編曲を比べるための一組になります。

「new take by 1991」は、1997年の収録盤と分けて読む

『EMOTIONAL LOVE SONGS』には「星空のディスタンス (new take by 1991)」が収録されています。公式ページのアルバム発売日は1997年11月19日で、曲名には1991年を示す別テイク表記があります。公式アルバム情報

「テイク」は録音した演奏の単位を指す言葉です。ここでは曲名に付いたNew Takeを手掛かりに、通常収録と区別して選べます。ただし、歌・楽器のどの部分を録り直したか、元の素材をどこまで使ったかという詳細な制作工程は、今回確認した公式ページには書かれていません。

1997年は収録アルバムの発売年、1991年は曲名に示された版の年です。これを「1997年に録音した版」や「1991年リマスター」と読み替えないようにしましょう。今回の配信は約4分04秒で、通常収録より約11.2秒短くなっています。

武道館版は、2014年の公演を収めたライブ録音

『デビュー40周年 スペシャルコンサート at 日本武道館』は、2014年8月25日に行われた記念公演を収録した作品です。レーベルの商品情報では2015年3月18日発売のライブCDとして案内され、「星空のディスタンス」はDisc 2の2曲目に収録されています。ユニバーサル公式商品情報

今回のApple Music収録は約3分54秒。曲名の公演名が、どの演奏なのかを選ぶ目印です。同じアルバムにある「DAYS GONE BY」や「メリーアン」は別の楽曲で、「星空のディスタンス」の別版ではありません。

2012年のスタジオ再録音と並べれば、ライブ向けの編曲をスタジオで形にした版と、実際の会場で演奏した版を比べられます。演奏日と作品の発売日を分けて見ることも、ライブ音源を選ぶ際の手掛かりになります。

Apple Musicで選ぶ5つの収録

2026年9月16日に日本カタログで確認した5収録です。曲名・収録盤・長さを組み合わせて選べるように並べました。全時代の版や全収録盤を網羅した一覧ではありません。

星空のディスタンスの5収録と再生時間・ISRC
比較の入口収録盤長さの目安ISRC
通常収録(版名なし)BEST SELECTION I約4分15秒JPPC08300830
Long VersionTHE RENAISSANCE約5分17秒JPPC08455076
new take by 1991EMOTIONAL LOVE SONGS約4分04秒JPPC08300830
2012 New RecordingAlfee Get Requests!約4分37秒JPTO01201821
2014年武道館ライブデビュー40周年 スペシャルコンサート at 日本武道館約3分54秒JPPO01502621

長さはカタログ値を秒単位に丸めています。配信の発売日は録音年や作品の初出日と一致しない場合があります。例えば『THE RENAISSANCE』収録の今回の配信には2007年6月28日とありますが、公式年表での作品発売日は1984年7月5日です。配信上の日付だけではリマスターや再録音の年は判断できません。

同じISRCでも、別テイク表記を優先して確認する

ISRCは録音を識別するためのコードです。今回のカタログでは、通常収録と「new take by 1991」に同じJPPC08300830が付いていました。一方で曲名には別テイク表記があり、長さにも約11.2秒の差があります。

この組み合わせでは、コードだけを見て同じ音源としてまとめると、聴き比べたい版の違いを見落とします。同じコードになっている理由は今回確認できていません。別テイク表記を持つ収録として分けて残し、音の一致は別途確かめるのが適切です。

2012年版は通常収録と別のISRCですが、再録音と判断する根拠はコードの違いだけではありません。メンバーの制作説明とNew Recording表記が揃っています。同様に、ライブ版は公演日・会場・収録作品の情報から別の演奏として選べます。

まず通常収録と2012年版から聴き比べる

  1. 通常収録 → 2012年の再録音。 同じ端末・出力機器で音量を近づけ、同じ歌の箇所を目印に、声・コーラス・伴奏の組み立てを比べます。どちらが高音質かという順位より、録り直すことで曲の見せ方がどう変わったかに注目してください。
  2. 通常収録 → Long Version。 約62秒の差がどこにあるか、冒頭・間奏・終わり方に分けて確かめます。長さだけから、どの部分が追加されたかを決めつけないことが大切です。
  3. 1991年の別テイク → 2012年版。 曲名に示された年を手掛かりに、歌のフレーズや楽器の配置を比較します。聴こえる違いと、資料で確認できる制作工程は分けて考えます。
  4. 2012年版 → 2014年武道館ライブ。 スタジオ再録音から実際の公演へ。同じ曲でも、演奏の進み方や終わり方を含めて聴き比べてみましょう。

この記事は公式資料とカタログに基づく比較ガイドです。現行配信のフル再生による音質評価や、編集位置・演奏の完全一致の検証は行っていません。短い試聴だけでは冒頭や曲末まで比較できない場合があります。

キキナオシでは、曲名や収録盤の版表記、ISRC、再生時間を手掛かりに候補を整理します。別テイク・再録音・ライブの候補で信頼度が低くても、違う曲という意味ではありません。同じ録音としては扱わず、比較する版として選んでください。