キキナオシ

VERSION GUIDE 18

カーペンターズ
「イエスタデイ・ワンス・モア」
原版、1985 Remix、2018年管弦楽版は何が違う?

「イエスタデイ・ワンス・モア」をApple Musicで探すと、『Now & Then』の収録曲、1985 Remix、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団との共演版が見つかります。違いを追う鍵は、もとの録音に後からどんな作業を加えたかです。

リチャード・カーペンター本人の解説は1985年の追加録音とリミックスを記録し、2018年盤の公式案内は既存の歌・演奏と新しい管弦楽の組み合わせを説明しています。制作工程を押さえてから、配信で選べる収録を比べてみましょう。曲別の公式解説2018年盤の公式案内

執筆:TOPDAY読了目安:約8

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1973年:オールディーズ・メドレーへの入口

『Now & Then』は1973年のアルバムです。リチャードの解説によると、当時のオールディーズ人気を背景に、ジョン・ベティスと作った「イエスタデイ・ワンス・モア」を、アルバム後半のメドレーへ導く曲にしました。メドレーはラジオ番組を模した構成で、トニー・ペルーソがDJ役を務めています。『Now & Then』の公式解説

同じアルバムの最後には短い「Yesterday Once More (Reprise)」もあります。Repriseは曲を再び取り上げる部分で、冒頭側の本編とは収録範囲が違います。検索で同じ曲名を見つけたら、まず本編かRepriseかを確認すると、長さの違いを取り違えずに済みます。

この記事では、本編の現行配信『Now & Then (Reissue)』を比較の基準にします。「1973年原版を聴く入口」として選んでいますが、再発盤の配信が初版LPと完全に同じミックス・マスターかまでは確認していません。

1985年:リミックスに加えて、録音も追加

曲別の公式解説には、1985年に追加録音とリミックスを行ったこと、エンジニアがRoger Youngであることが記されています。現在のApple Musicでは『The Essential Collection (1965-1997)』に「1985 Remix」表記の収録があります。公式の制作記録

リミックスは個別の録音素材から歌や楽器のバランス、配置、響きなどを組み直す工程です。そこに追加録音もあるなら、完成したミックスを整えるリマスターより、変更は録音素材そのものに及びます。

ただし、この公式ページだけでは、1985年にどの楽器のどの部分を追加・差し替えたかは分かりません。掲載されている奏者名をすべて1985年の新録担当者と読んだり、全曲を一から録り直した版と扱ったりはできません。

2018年:既存の歌・演奏に、新しい管弦楽を重ねる

『Carpenters with the Royal Philharmonic Orchestra』は、カーペンターズの既存のヴォーカルと演奏トラックに、リチャードが編曲・指揮した管弦楽を組み合わせたアルバムです。カレンの歌を2018年に新しく録音した作品ではありません。ユニバーサル ミュージックの発売案内

管弦楽の録音は2018年8月13〜16日、ロンドンのアビイ・ロード・スタジオで行われました。「共演」は、異なる時期の録音を一つの作品にまとめたものと捉えると正確です。アルバムは同年12月7日発売で、「イエスタデイ・ワンス・モア」も収録されています。レーベルの制作説明

この版を比べるときは、歌のフレーズを目印に、伴奏の広がりや歌を支える音の動きを追えます。一方、どの年代の追加録音素材を引き継いだかという曲単位の内訳は、今回の資料では確定できません。「1985 Remixに管弦楽だけを足した版」とまでは扱わずに比較します。

Apple Musicで選ぶ4つの収録

最初の3行が今回の中心です。4行目の1991 Remixは、検索で見つかる別の年号のリミックスを、1985年版と取り違えないために加えました。

版と収録盤の比較表
比較の入口収録盤曲名の版表記長さの目安
1973年のアルバム由来Now & Then (Reissue)なし約3分54秒
1985年のリミックス表記The Essential Collection (1965-1997)1985 Remix約3分49秒
2018年の管弦楽版Carpenters with the Royal Philharmonic Orchestraなし・管弦楽団との連名約3分57秒
補足:別年のリミックス表記Singles 1969-19811991 Remix約3分58秒

Apple Musicで開く:

時間は2026年9月13日に確認した日本カタログの値を秒単位に丸めています。管弦楽版の曲名には「2018」や「Orchestra」が付いていないため、アーティストの連名と収録盤も見て選んでください。

1991 Remixという表記は配信カタログで確認できますが、1985年版から何を変更したかの詳細は今回の一次資料では確認できません。1985年の制作説明を、そのまま1991年版の説明として流用しないようにします。

数秒の差や発売日だけでは、制作工程は分からない

表のアルバム由来の収録と2018年管弦楽版は、カタログ上では約3.2秒しか違いません。管弦楽が加わっても、曲全体が大幅に長くなるとは限りません。逆に1985 Remixはアルバム由来の収録より約4.4秒短いものの、その差だけで編集箇所や録音の変更点を特定することはできません。

ISRCは順に USAM17300051USAM18500041USUM71815364USAM10200557 でした。4つの配信を区別する手掛かりですが、番号の違いを「歌も演奏もすべて別録音」という意味には読み替えません。工程の説明には、制作資料が必要です。

また、表の1985 Remixと1991 Remixには、曲単位の発売日としてどちらも 1973-05-01 が入っていました。ミックスの年号と配信上の日付は別の情報です。『Singles 1969-1981』という収録盤名の年代も、各曲のミックス作業がその期間内に完了した証拠にはなりません。

聴き比べるなら、歌を目印に伴奏を追う

  1. 『Now & Then』の本編を聴く。 歌い出しから一つのフレーズを選び、声と伴奏の位置関係を覚えます。余裕があればアルバムの曲順でも聴き、メドレーへのつながりを確認します。
  2. 1985 Remixの同じフレーズへ移る。 同じ端末・出力機器で、聞こえる音量を近づけて比較します。歌と伴奏のバランス、音の重なり、終わり方を順に追います。聞こえ方の差だけで、どの楽器を追加録音したかまでは断定しません。
  3. 2018年管弦楽版へ切り替える。 歌の同じ箇所を目印に、管弦楽が加わった伴奏と声の関係を確かめます。開始位置や余白が違う可能性があるので、秒数だけで位置を合わせないのがポイントです。
  4. 最後に1991 Remixも比べる。 1985 Remixと同じ版名ではないことを確かめ、どちらを普段聴いていたか収録盤と一緒に確認してみてください。

これは資料をもとに設けた比較の観点です。今回は実音源を試聴しておらず、特定の秒数で楽器が増える、どの版の音質が優れている、といった聴感評価は行っていません。

キキナオシでは『Now & Then』収録、1985 Remix、1991 Remix、2018年管弦楽版を候補として比較できます。2018年版は「管弦楽版(追加演奏)」と表示され、原版やリミックスとは同じ版として扱いません。 管弦楽版の曲URLを基準に検索した場合も、原版やリミックスへ移れます。基準曲自身の高信頼度表示は「検索対象として選択した楽曲」という意味で、ほかの版との録音の一致を示すものではありません。