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VERSION GUIDE 14

デヴィッド・ボウイ「Space Oddity」
2015リマスター、2019 Mix、1979年版は何が違う?

「Space Oddity」を探すと、2015 Remaster、2019 Mix、1979 Versionと、いくつもの年号が並びます。この数字は、すべて録音した年を表しているわけではありません。

今回の比較の中心は3つです。1969年のヒット版を聴く入口となる2015リマスター、その録音を新しくミックスした2019 Mix、そして1979年に演奏し直した版。さらに短いシングル版を加えると、「同じくらいの長さなら同じ版」という見方にも限界があることが分かります。

執筆:TOPDAY読了目安:約8

「このバージョン、何が違う?」シリーズの全記事を見る →

まずは、どの年の何を変えた版かを見る

「Space Oddity」の英国シングル発売日は1969年7月11日です。同曲はセカンドアルバム『David Bowie』の冒頭にも収録されました。ボウイ公式の発売案内

現在のApple Musicでは、そのアルバムを『David Bowie (aka Space Oddity) [2015 Remaster]』という名前で選べます。Rhino公式ストアでも、2015リマスター盤を『Five Years: 1969–1973』ボックスからの単独商品として案内しています。レーベル公式の商品説明

ここでの2015は、1969年の曲を2015年に演奏し直したという意味ではありません。比較するときは、まず録音・演奏の版を確かめ、そのうえでリマスターやミックスの年を見ると整理できます。

Apple Musicで選ぶ5つの入口

Space Oddityの代表5音源
比較する版収録先曲名の表記長さの目安
1969年のアルバム版の2015リマスターDavid Bowie (aka Space Oddity) [2015 Remaster]Space Oddity (2015 Remaster)約5分17秒
アルバム版の2019ミックスSpace Oddity (2019 Mix)Space Oddity (2019 Mix)約5分21秒
1979年の再録音の2017リマスターA New Career in a New Town (1977-1982)Space Oddity (1979 Version) [2017 Remastered Version]約4分52秒
2019ミックスのシングル編集版Space Oddity (Single Edit) [2019 Mix] - SingleSpace Oddity (Single Edit) [2019 Mix]約4分43秒
従来のモノ・シングル編集版の2015リマスターFive Years 1969-1973Space Oddity (Mono) [2015 Remaster]約4分43秒

Apple Musicで開く:

曲名、収録先、再生時間は2026年9月8日のApple Music日本カタログで確認しました。時間は秒単位に丸めています。現在の配信が当時の初版レコードと完全に同じマスターであることを保証する表ではありません。

2019 Mixは、1969年の演奏の聴こえ方を組み直した版

2019年の新しいミックスはトニー・ヴィスコンティが担当しました。公式は、同年11月にアルバムの2019 Mixの配信・フィジカル発売を案内しています。2019年版の公式案内

Apple Musicの本人へのインタビューでは、ヴィスコンティがこの曲の元のミックスではキックドラムが埋もれていたと述べ、ドラムとベースの動きに注目しています。また、1969年のこの曲の制作を担当したのはガス・ダッジョンであることも説明されています。制作担当者の曲別解説(英語)

この説明を手掛かりに、2015リマスターと2019 Mixでは、歌に対して低音やドラムがどのくらい前に感じられるかを比べてみましょう。声と伴奏の位置関係、音が重なる場面でどのパートを追いやすいかも観点になります。

ミックスでは録音素材のバランスや配置などを組み直します。一方、リマスターでは通常、出来上がったミックスを基に音の仕上げを調整します。「より新しい年だから上位版」と決めず、どの関係が変わったのかを意識すると、好みを探しやすくなります。

表の2曲には約4秒の時間差があります。ただし、カタログの時間だけでは、その差がどの箇所の処理によるものかまでは特定できません。

1979 Versionは、編成を絞って演奏し直した版

1979年版については、ボウイ自身の意図が公式サイトに残っています。1980年の『NME』取材で、テレビ番組のために「Space Oddity」を再び取り上げる際、装飾を取り去り、3つの楽器で演奏することを望んだと説明しています。本人の発言を掲載した公式記事

また、2009年の公式EP案内はこの版を「1979 re-record」と明記しています。既存ミックスから楽器の音量を下げただけの版として扱うのではなく、再録音として比較する根拠になります。公式EPの収録内容

Apple Musicで今回選ぶ曲には、1979 Versionと2017 Remastered Versionの2つが付いています。前者は演奏の版、後者はその録音を仕上げ直した年です。「2017リマスター」という部分だけを見ると、1969年版の別リマスターと取り違えてしまいます。

聴き比べるときは、声のフレーズや間の取り方、伴奏の数と役割を追ってみてください。1979年版は表では約4分52秒ですが、短さだけからシングル用の短縮編集だと判断することもできません。録音の来歴が違います。

同じ約4分43秒でも、モノ版と2019 Mixは違う

2019 Mixには、約5分21秒のアルバム版に加え、約4分43秒のSingle Editがあります。公式の50周年案内は、従来のモノ・シングル編集版と、新しい2019 MixのSingle Editを別々に掲載しています。公式の50周年シングル構成

さらに『Five Years 1969-1973』のRe:Call 1部分には、従来の英国モノ・シングル編集版が収録されています。Rhino公式の収録一覧

日本カタログで上の表の2つを比べると、どちらも秒単位では4分43秒になります。それでも、一方にはMono、もう一方には2019 Mixという区別があります。時間が一致することは、同じミックスの証明にはなりません。

ここでは「何秒短いか」だけでなく、モノ/ステレオ、Single Edit、ミックス年を一緒に確かめましょう。音の広がりを比べるときも、まずモノ版を選んでいるのかを確認すると、違いの理由を考えやすくなります。

聴き比べるなら、この順番で

  1. 2015リマスターと、アルバム版の2019 Mixを選ぶ。 同じ端末・出力機器を使い、聴感上の音量を近づけます。音声形式もそろえて比較しましょう。
  2. 歌とリズム隊の関係を追う。 同じ秒数へ機械的に移動するより、対応する歌や演奏箇所を見つけ、ドラム、ベース、声へ順に注意を向けます。
  3. 1979 Versionを加える。 今度は演奏自体が違います。声の入り方や間、伴奏の役割を比べます。
  4. 短い2版を確認する。 モノの2015リマスターとSingle Editの2019 Mixを選び、同じ長さでもミックスを区別できることを確かめます。

検索の分類は、曲名や収録盤などのカタログ情報に基づく候補です。ボウイの1979 Versionは公式資料を根拠に「再録音」として区別します。その録音の2017リマスターであることは、曲名全体とこの記事の表で確認してください。

ここで挙げた聴き方は、利用者自身が試すための観点です。制作担当者の説明と、筆者が実再生して得た感想は区別しています。録音、ミックス、リマスター、編集という順に来歴をほどいて、自分が聴きたい「Space Oddity」を選んでみてください。