キキキナオシ

このバージョン、何が違う?

スティング
「Englishman
in New York」
同じ街の歌を、
違う編成で。

よく知る通常版、管弦楽で描き直した2010年版、そして2019年のMy Songs版。どれも約4分半ですが、同じ録音の仕上げ違いとして並べることはできません。まずは3つの版名と、演奏する楽器を手掛かりに選びます。

執筆:TOPDAY読了目安:約8分

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まずは通常版 → Symphonicities → My Songsの順で

通常版の約4分27秒、Symphonicities版の約4分23秒、My Songs版の約4分28秒。長さの近さより、曲名の後ろの版表記と収録盤を見てください。リミックスやライブへ進む前に、この3つを往復するのがおすすめです。

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1987年のアルバムから始める

「Englishman in New York」は、1987年のアルバム『...Nothing Like the Sun』の3曲目。本人公式のシングル案内では、シングル発売を1988年2月と説明しています。曲がアルバムに入った年と、シングルが出た年を分けておきましょう。

通常系収録のApple Musicクレジットには、ブランフォード・マルサリスのソプラノ・サックス、ケニー・カークランドのキーボード、マヌ・カッチェのドラムなどが記されています。次に比べるSymphonicities版では、管楽器のソロ担当も変わります。

今回の基準は、現在の日本カタログにある『...Nothing Like the Sun』収録です。1987年の初版CDと配信ファイルのマスターが完全に同じ、と保証する意味で「通常版」と呼んでいるわけではありません。

Apple Musicで選ぶ、8つの代表収録

Englishman in New Yorkの代表収録・再生時間・ISRCの比較
収録・版時間ISRC選ぶ目印
通常版/...Nothing Like the SunをApple Musicで開く(外部サイト)...Nothing Like the Sun約4:27USAM18700040最初の基準。Atmos対応表示と録音の版は別の軸
管弦楽版/SymphonicitiesをApple Musicで開く(外部サイト)Symphonicities (Bonus Track Version)約4:23USUM71016839クラリネットと室内合奏の編成。Berlinのライブとは別
セルフカバー/My SongsをApple Musicで開く(外部サイト)My Songs約4:28USUM719034132019年の再構成版。通常版との差は約1.41秒
Ben Liebrand MixをApple Musicで開く(外部サイト)...Nothing Like The Sun (Expanded Edition)約6:13USUM72207803約6分13秒のリミックス。Expanded Editionの追加収録
The Ben Liebrand Mix / EditをApple Musicで開く(外部サイト)...Nothing Like The Sun (Expanded Edition)約4:32USUM72218004約4分32秒の短い版。長尺Mixと別ISRC
2010年ベルリン・ライブをApple Musicで開く(外部サイト)Live In Berlin約4:39USUM71025654公演日・会場が曲名にある管弦楽ライブ
2019年My Songsツアー・ライブをApple Musicで開く(外部サイト)My Songs: Live約4:22USUM71918168My Songs Versionと同じ2019年でも別演奏
通常系/Fields of Gold [Remastered]をApple Musicで開く(外部サイト)Fields of Gold - The Best of Sting (1984-1994) [Remastered]約4:27USAM18700040通常版と同ISRC。新しい演奏とは限らない

2026年11月5日のApple Music日本カタログで確認。時間は秒単位に丸めています。8収録が8回の独立した録音という意味ではありません。各収録名から対象曲を開けます。

Symphonicities版は、クラリネットと室内合奏へ

2010年の『Symphonicities』は、ポリス時代とソロの曲を管弦楽アレンジで取り上げた作品です。本人公式の曲別クレジットでは、この曲にロブ・メイセスのピアノと指揮、デヴィッド・フィンクのアコースティック・ベース、アーロン・ハイクのクラリネット・ソロ、ニューヨーク・チェンバー・コンソートなどが記されています。

ここでの比較の入口は、通常版のサックスからクラリネットへ、そして歌を囲む合奏の編成へ、という変化です。同じ歌い出し付近から往復し、歌の合間を受け持つ管楽器と、後ろで支える音の重なりへ順に耳を向けてみてください。

配信の曲名には「feat. Royal Philharmonic Concert Orchestra」と表示されますが、公式のこの曲の演奏者欄はニューヨーク・チェンバー・コンソートを挙げています。アルバム全体の参加団体や配信の名義表示を、そのまま全曲共通の編成と考えず、曲ごとの記載を優先します。

また、団体名にあるConcertは、公演を収録したという版名ではありません。表のSymphonicities版と、同じ2010年の『Live In Berlin』は別収録。管弦楽が参加することと、ライブであることは分けて確認します。

My Songs版は、2019年に描き直したセルフカバー

発売元の『マイ・ソングス』紹介は、スティング自身の名曲を現代的にセルフカバーした作品と案内し、「Englishman in New York」を13曲目に掲載しています。本人公式の発表も、従来のアレンジを尊重しながら2019年へ向けて再構成した録音として説明しています。

したがって、My Songs Versionを1987年録音の単なるリマスターとして選ばないことが大切です。一方で、この曲の歌唱・伴奏のすべてをゼロから録り直したか、元の素材をどこまで使ったかは、今回確認した公式説明だけでは確定できません。セルフカバーという作品の位置づけと、個々の素材の録音対応は別に扱います。

日本カタログでは、通常版が266,813ミリ秒、My Songs版が268,223ミリ秒。差は約1.41秒しかありません。ほぼ同じ長さでも、版名とISRCは異なります。尺の近さを「同じ音源」の決め手にせず、声のフレーズ、リズムの支え方、間奏の音の配置を順に比べてみましょう。

通常盤とDeluxeのMy Songs Versionは今回、同じISRC・同じ尺でした。盤が違うたびに別のセルフカバーが作られた、という意味ではありません。

Ben Liebrand Mixには、長尺版とEditがある

もう少し違う入口を探すなら、Ben Liebrand Mixへ。本人公式の12インチ盤案内は、1990年にベン・リーブランドがリミックスしたと説明しています。2010年の管弦楽アレンジや2019年のセルフカバーとは、別の時期・制作方法による版です。

今回の日本カタログでは、『...Nothing Like The Sun (Expanded Edition)』に「Ben Liebrand Mix」が約6分13秒、「The Ben Liebrand Mix / Edit」が約4分32秒で並び、ISRCも分かれています。短いEditは通常版の約4分27秒に近いため、再生時間だけで選ぶと取り違えやすい収録です。MixとEditまで曲名を読んで選んでください。

発売元のExpanded Edition案内は、2022年に配信された拡張版の初CD化と説明しています。新しい収録盤へ加わったことと、リミックスが作られた1990年は同じではありません。2つの配信版の全編集点や、1990年当時の各媒体との完全な対応までは確認していません。

同じ2010年、同じ2019年でも、ライブは別に選ぶ

『Live In Berlin』の対象曲は、曲名に2010年9月21日と会場O2 Worldが明記されています。発売元の作品案内と合わせ、Symphonicitiesのスタジオ収録とは別の公演として選びます。こちらの配信名義にはブランフォード・マルサリス、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、指揮者スティーヴン・マーキュリオ、スティングが並んでいます。

2019年にも、My Songs Versionとは別に「Live From The My Songs Tour / 2019」があります。日本発売元のSpecial Edition告知は、その年のツアーのライブ音源を11曲追加したと案内しています。表では同ツアー版を『My Songs: Live』から挙げています。

スタジオのMy Songs版は約4分28秒、ツアー版は約4分22秒で、別ISRCです。「2019」「My Songs」までが同じでも、曲名のLiveを見落とさないようにしましょう。ツアー版の曲別の公演日や、各リリース間の編集の完全一致は未確認です。

参考資料と確認範囲

資料・日本カタログの確認日:2026年11月5日。全曲フル聴取、波形比較、各CDと配信のマスター完全一致、My Songs版の全素材対応、リミックスの全編集点は未確認です。聴き比べの提案は、未検証の聴感差を結論とするものではありません。配信確認は日本カタログの今回取得できた範囲です。