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VERSION GUIDE 55

宇多田ヒカル「Automatic」
シングル・アルバム・2014リマスター・2024 Mixは何が違う?

「Automatic」の2014リマスターを2つ並べると、一方は約5分28秒、もう一方は約5分12秒。同じ年のリマスターなのに、なぜ長さが違うのでしょう。

入口になるのは、リマスター年よりも収録盤です。シングルと『First Love』のAlbum Editを分けたうえで、2014年の仕上げ直し、2024年の新ミックス、ライブへと聴き比べを広げます。

執筆:TOPDAY資料確認:2026年10月24日読了目安:約8分
アルバムの2014リマスターを基準に探す →

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まず、シングルとAlbum Editを分ける

「Automatic」は1998年12月9日発売のデビューシングル『Automatic / time will tell』の収録曲です。翌1999年3月10日発売のアルバム『First Love』では、公式の曲目に「Automatic -Album Edit-」と記載されています。シングルの公式情報とアルバムの公式曲目で確認できます。

さらに、2014年の『First Love -15th Anniversary Deluxe Edition-』も、リマスター盤の1曲目を「Automatic -Album Edit-」としています。アルバム用の版名は、2014年になって初めて付いたものではありません。15周年盤の公式曲目

一方、今回のApple Musicでは『First Love』の曲名が「Automatic (Remastered 2014)」となり、Album Editという文字は表示されていません。曲名だけを見ると見落としやすいため、収録先まで確認するのが選び方のポイントです。

現行の配信シングルは約5分12秒、『First Love』の2014リマスターは約5分28秒でした。この2曲の差は約16.1秒。公式の版名と配信の尺差を合わせて区別できますが、どの小節や曲末処理が差を作っているか、歌唱・伴奏素材をどこまで共有するかは今回の資料では確定できません。「リマスターで16秒伸びた」とは扱わず、まずシングル収録とAlbum Editという比較軸を置きます。

Apple Musicで選ぶ、代表5収録

聴き比べの入口を5つに絞りました。版のリンクからApple Musicの曲ページを開けます。最初は上の2曲を選び、その後にSingle Collection、2024 Mix、ライブへ進むと、何を変えて比較しているのかが分かりやすくなります。

版・収録先・長さ・比較の目印
選ぶ版収録先長さ比較の目印
シングル収録Automatic / time will tell - Single約5分12秒版名のない配信シングル
First Love・2014リマスターFirst Love (2014 Remastered Album)約5分28秒公式曲目はAlbum Edit
Single Collection・2014リマスターUtada Hikaru Single Collection Vol.1 (2014 Remastered)約5分12秒シングル系の長さのリマスター
2024 MixSCIENCE FICTION約4分56秒Steve Fitzmauriceの新ミックス
2024年ツアー・ライブHIKARU UTADA SCIENCE FICTION TOUR 2024約5分20秒スタジオ版と分けて選ぶ

曲名・収録先・ISRC・再生時間・音声形式は2026年10月24日のApple Music日本カタログで確認。時間は秒単位に丸めた目安です。配信データは更新される場合があります。版名のない配信曲も、発売当時の初版CDと完全に同じマスターと保証する意味ではありません。

同じ2014リマスターでも、収録先が違う

『First Love』の2014年盤は、Ted Jensenによるリマスタリングを公式に案内しています。完成したミックスの音質や音量などを仕上げ直す工程で、声や楽器の素材を組み直すミックスとは区別します。15周年盤の公式説明

『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.1』にも2014リマスターがあります。mora運営元のレーベルゲートは、2014年12月9日のハイレゾ配信を告知し、Ted Jensenがオリジナルマスターを使ってリマスタリングしたと説明しています。『First Love』の15周年盤と、シングル・コレクションの配信は、別々の作品・発売機会です。配信元の告知PDF

現行カタログでは、Single Collectionの「Automatic」は約5分12秒で、配信シングルとの差は約0.04秒。一方、『First Love』の2014リマスターとは約16.2秒違います。同じ担当者・同じ年の表記でも、Album Editとシングル収録を同じ長さの曲として扱うことはできません。

配信シングルのISRCは「JPTO09831500」、Single Collectionは「JPTO00400346」、『First Love』2014リマスターは「JPPO01400151」でした。異なる番号は区別の手掛かりですが、新しい歌唱テイクの証拠にはなりません。シングルとSingle Collectionは尺が非常に近いものの、ミックスやマスターの完全一致も、番号と尺だけでは決められません。

2024 Mixは、スティーヴ・フィッツモーリスの新ミックス

「Automatic (2024 Mix)」は、ベストアルバム『SCIENCE FICTION』に先駆けて2024年3月22日に配信されました。Universal Musicの公式説明では、担当エンジニアをSteve Fitzmaurice(スティーヴ・フィッツモーリス)と明記しています。2024 Mixの公式情報

『SCIENCE FICTION』は2024年4月10日発売。公式には新ミックス10曲と、「Addicted To You」「traveling」「光」のリレコーディングを区別して紹介しています。「Automatic」は新ミックス側の曲として捉えられます。ベスト盤全体に再録音曲があるからといって、「Automatic」も歌い直したとは判断できません。ベスト盤発売時の公式説明

今回確認したベスト盤の2024 Mixは約4分56秒。配信シングルより約16.1秒、『First Love』の2014リマスターより約32.3秒短く、ISRCも「JPPO02400213」と異なります。ただし、この短さだけで使った録音素材や編集箇所までは確定できません。公式に確認できた新ミックスという位置づけと、未確認の編集・素材対応を分けておきます。

比べるなら、まず声と伴奏の音量関係、左右の配置、音の重なりや響きへ。同じフレーズを行き来し、最後は終わり方も確かめてみてください。これは聴き比べの観点であり、筆者が試聴して特定の音の変化を確認した報告ではありません。

ライブとDolby Atmosは、比較する条件を変えて選ぶ

『HIKARU UTADA SCIENCE FICTION TOUR 2024』には「Automatic (Live Version)」があり、現行カタログでは約5分20秒、リリース日は2024年12月11日です。ツアーの演奏を聴く入口として、スタジオの編集・仕上げ直しとは分けて選びます。今回のカタログは最終公演の音源と説明していますが、曲ごとの収録日・配信用の編集内訳まではここで断定しません。

ベスト盤の2024 Mixとこのライブには、Dolby Atmosの対応情報もありました。Mixという版名とDolby Atmosという音声形式は別の情報です。まずDolby Atmosをオフにしてステレオ同士を比べ、その後、対応環境で同じ曲のAtmosを試すと、条件を整理できます。設定と再生中の表示はAppleの公式手順で確認してください。

カタログの対応情報は、いま端末で実際に再生されている形式を保証するものではありません。ハイレゾ対応の表示についても、曲の編集やミックスの種類とは分けて見ます。

聴き比べる順番を決めてみる

  1. シングルと『First Love』の2014リマスター。 曲の始まりから同じ歌唱箇所へ進み、終盤までの構成と終わり方を比べます。約16秒の差があるため、再生位置の秒数だけで同じ場所と決めないようにします。
  2. シングルとSingle Collectionの2014リマスター。 約5分12秒の2曲を同じ端末・同じ再生形式で選び、聴感上の音量を近づけて、声や伴奏の質感を確かめます。
  3. 2024 Mixを加える。 同じフレーズで声と楽器の関係、響きや終わり方を比べます。新しい年の版が好みに合うかは、自分の耳で選んでみてください。
  4. 最後にライブ、必要ならAtmosへ。 別演奏の楽しみと、再生形式を変える楽しみを、それぞれ試します。

ボタンは、ご紹介した『First Love』の2014リマスターを基準に検索します。今回の結果は7候補で、表の5収録と、約5分29秒の「TOKYO」コンピレーション2収録が含まれました。後者は同じISRC「JPTO09901640」ですが、尺が近いだけで『First Love』2014リマスターと同じマスターとは断定しません。候補数は配信や検索の更新で変わる場合があります。